松本ESテック社内研修会(幕張第1回目)

「社内勉強会をやろう!講師はやります」そんな一声から始まった、松本ESテック専務主催の「社内研修会」。参加者は当日まで何をするのか、どんな内容なのかを知らされず、筆記用具なしで参加しました。この記事では松本ESテック専務が社員に伝えたかった社内研修会の内容を、できるだけ忠実にお伝えします。社員の皆さん、是非ご一読を!

プロローグ

高速精密プレス機

皆さん、なぜ今日ここに集まったのか、悶々としていると思います。この2~3年で外部講習やポリテクセンターでの研修を受ける機会が増えて多少なりとも知識は増えたと思います。でも、受講することで得られた知識も、それをどう業務に活かすのか、実際その業務に携わらないとなかなかピンときませんね。

仕事って何だろう?

お金 財源 保険料

少なくとも皆は、この会社に仕事に来ています。仕事とは何なのか。基本は働いてお金をもらう事です。出勤して仕事をして稼いだお金で生活して、このつながり、実はあまり意識していないのではないかと思っています。

仕事とは、単にお金を稼ぐためだけの行為ではありません。例えば、仕事で不良品を出した場合、その損害を個人が弁償するわけではなくても、責任は確実に存在します。そのリスクを会社は負っている、そして皆さん一人ひとりもリスクを背負っています。働くとはどういうことか、ゆっくり振り返ってほしいと思います。そして振り返った時に、労働でお金を得て物を買う、という当たり前のサイクルの中で「自分の仕事はこれでいいのか」「自分はどういう仕事をしているか」「価値はどれだけあり」「その価値をどう磨き」「どう形にしていくか」を考えてほしいと思います。

変化を恐れず、むしろ受け入れる

変化とチャンス

世の中は急速に変化しています。人はそれぞれ感じ方が違って、入社1年目と30年目では意見も違うはず。一人ひとりの目線、それぞれの価値観を共有することが大切で、この変化している世の中に対応するという事は、そういう事だと思っています。

直近で、コロナ禍があり世界中が鎖国状態になりました。人の出入りも情報も止まって、物だけが出入していたような状態でした。その間それぞれの国では自国内でできる事を一生懸命やりました。そうするしかなかったと言った方が良いかもしれません。その中で新興国といわれる国々が、国内で自立する力を磨く必要に迫られ、国力をつけようと努力しました。コロナが明けて約一年半、その結果は顕著に表れています。ここ数ヶ月、日本から見ると物価は上がっていますが、海外の水準で見ると実はそんなに変動はありません。

日本は給与も物価も上がらない時代が約30年続き、1980年後半にバブルがありました。物を沢山作ってお仕事を作り上げて、まるで仕事があるかのようにしていた時代です。日本はその苦い経験があるから。「安定している」「変化がない」という状態は楽だし、不安もないからこのままいくのではないか?という錯覚をさせてくれます。他国は賃金も物価も上がり続け、日本はそのままで、コロナが明けて他国と大きな差が出ました。

妄想ではなく、実際ガソリンは政府補助がなければ300円/L、乗れる?みんな?みたいな状況です。

変化には勇気もいるし、どこから始めれば良いか分からないこともあるでしょう。まずは「思いつく」という事が発動の原点だと思います。

想像できる力を蓄える

想像することの大切さ イメージする

過去に出したミスや不良など、未来に同じことをしてしまう想像しましょう。どういう風に発想を持っていくか、例えば、自分の業務に楽しさや工夫を取り入れてみる。例えば一つひとつの素材の梱包を開けた時に何か楽しくなるような仕掛けができないか。一つの作業が変化のない繰り返し作業になってしまっているとしたら、それは安全も脅かされているのではないでしょうか。少しの変化にすら気づくことが、おそらくできません。

ワクワクする、そんな仕掛けを考えよう

楽しい 仕掛け

お客様は最終製品を開けるとき、きっとワクワクしていると思います。製品を作る側にその喜びやワクワクはないのか、仕事に対して自分自身でそんな仕掛けを作ることも、変化のきっかけになります。会社が考える仕掛けもあればグループや個人でも何か考えて仕掛ける、ということが変化する第一歩目なのではないでしょうか。

現状把握と基準の重要性

変化を認識するためには基準を持つことが重要です。自分の中で何を基準にするのか、今月の成果や、これまでの経験を振り返り、数値でも知識でも技術でも、自分の中で何か基準を作って、どんなことに気づいたのか、どう変わったのか、自分自身の進化を感じ取ることが大事です。そして、その気づきを共有することで、一人ひとりが変わればチーム全体も変わる可能性が生まれます。

立ち位置について

自分の立ち位置と相手の立ち位置と、そしてどこに目標をおくか、という視点が目標設定においては重要です。まず、自分の立ち位置を明確に把握しましょう。その上で相手の立ち位置を理解することにより、何かに迷ったとき、何かを依頼したいとき、誰にどうすればよいのか、が明確になり、目標を達成するための協力関係を築くことができるはずです。

目標に向かって取り組む中で、間違えもするし、目標がぼやけたりもします。でもそれに気づいたら直せばいい「今がだめでも未来が駄目なわけじゃない、今良かったら未来がいいわけでもない」きちんと現状を把握してどこに向かいたいのか、ということを見出すことが大切です。

目標(目的地)とは

目標 ゴール

「自分はどこに向かっているのだろう」と考えることは大切で、いくつになっても夢、目標、希望は持ち続けていて欲しいと思っています。仕事でもプライベートでも自分の立ち位置を把握した上で、目標があればそれに向かって行けるはず、目標が無ければなかなか動こうとしないのではないでしょうか。目標をどこに置いてどう向かって行こうか、現場はこう変えたいですね、会社もこう変えたいですね、いずれはそんなことをイメージしてほしいと思っています。その傍らで自分の立ち位置を考えて、今はここにいるけれど、こうなりたい、という目標を皆が持って、皆で実施するのが第一段階の最終系。

AIの活用と人間の役割

AIの活用 AIの活用

生成AIは人間が今まで知識として覚えていたことを、人間では覚えられないレベルで学習し、質問に対する適切な回答をしてくれます。AIで問題ない知識はAIに任せて、人が本当に必要な知識を学ぶ、とても難しいけれどうまくバランスを取っていけると武器になります。日本は今、この分野で完全に取り残されているので、若手が中心になってどういう使い方ができそうか、機械にどうつなげていこうか、という事を考えてほしいと思います。

遊び心と心の豊かさ

癒し 推し

心の豊かさも必要です。集中力を削いでしまうものはダメですが、例えば、現場で顔を上げると自分の推しの女の子のポスターがあると荒まずに頑張れないですか?ちょっとした遊び心からの気分転換は大切です。そんな簡単なことも案があれば出してほしいと思います。

コミュニケーション

コミュニケーション

コミュニケーション不足を日常的に感じていると思います。自分の立ち位置を相手に気づいてもらい、相手の立ち位置も気づく、手法はミーティングかもしれないし、一対一のやり取りかもしれません。仕事のキャラクターは把握しないと仕事はうまく回りません。皆さん、仕事とプライベートできっちりと線引きがあるわけではないから、ある程度個人の感覚に踏み込んでいく必要があります。今は個人情報やコンプライアンス的にうるさいけれど、関わる中で必要なことは理解し合う事が大切です。全員が同じレベルで関わり合う必要はありませんが、例えば自分の立ち位置と相手の立ち位置が見えると距離感の保ち方が見えてきます。

昔、大きな部屋で家族が集まってご飯を食べ、その部屋に布団を引いてみんなで寝るような時代もありました。今は一人ひとり部屋があってプライバシーが守られている反面、それによって家族ですら、お互いが思っていることも分からなくなっています。人によって幸せの要素は異なるけれど、何に向かうのか、何を目標にするのか、それを理解すことは大切なことです。

今できる最大限を

人によって最大限は違います。自分の立ち位置を把握する事でその最大限を目指し、発揮することが可能になります。力の出し惜しみはよくない、会社までわざわざ来て自分の能力を発揮しないなんて勿体ない。今できる最大限を続けることがとても大切です。

仕事に対する専務の考え方

松本ESテックに入社したのは25歳、アルバイトで時給1,000円といわれました。当時は松本ESテックの創業者が社長(お爺さん)で、影響力が大きく、「この会社は社長がいなくなったら終わりだ」と幹部全員が口をそろえて言っていました。「なんで社長がいなくなったらダメになる会社に来なきゃいけないの?」「なんで未来がないのにアルバイトをしなきゃいけない?」と思ったのが自分が動き出すきっかけです。そしてその時「社長がいなくなっても大丈夫な会社にしてやろう」と思いました。当時は現在のように残業の規制がなかったため、月の稼働176時間22日の中、残業を200時間していました。(一日16時間くらい働きました。)その16時間で何をしていたか、日中は生産管理で計画を組む、終わったらプレスや組立ての現場に入りました。ただがむしゃらに一人前現場を経験して、一人前生産管理を経験しようと思いました。その結果、現場が何を思っているか、生産管理が計画を立てる上での苦労が見えました。最初の10年はそんな感じでした。後半10年は「今度は自分がいなくなったら、現社長がいなくなったらどうなるか」を考えました。先代がいなくなる不安から先代がいなくなり、新たな10年は「自分たちがいなくなったらどうするか」実はこの勉強会の大もとは「自分たちがいなくなったら、どうやってこの会社を動かしていくかをみんなで考える場にしたい」と思っていました。昨年倒れて間違えて本当にいなくなる可能性があるのかな、と自覚した時に、これを残しておかなきゃいけない、と頭をよぎりました。自分の考え方、生き方、仕事の持ち方をみんなに伝えたいを思いました。

強い会社に

強い

疲れることもあるし大変なこともあるけれど、仕事が終わって「お疲れさま!」と笑顔で帰ることができる会社にしたい、ここにたどり着くまでにはあと1歩2歩だと思っています。これができればすごく強い会社になる、世の中で必要な会社は赤字を出してもなくなりません。世の中で必要とされていない場合、同じようなことをやっていて黒字を出しても、風向きが変わったら一瞬でダメになります。赤字でも必要とされ、頼られる会社、それは人材が全て、そんな会社になることが目標です。そこを皆さんに伝えたい。概念ばかりで分かりにくいかもしれないけれど、何かを感じてくれたら、それを育てて伸ばしてほしい、それが願いです。

まとめ

目標設定

いかがでしたか。3時間弱に及ぶ第一回目の社内研修会は「仕事をする上での概念」をざっくりと伝えられたような回でした。頭の中を整理できない社員が多いかもしれませんが、「自分の立ち位置を確認する」「どこに向かいたいかを考える」など、たくさんの宿題が散りばめられた研修会はまだまだ続きます。自分なりに感じたことを考えてみましょう。

一般的な情報

前の記事

新年のご挨拶