製造業の舞台裏「間接部門」と「営業部門」の仕事は魅力的!~前編~
松本ESテック株式会社は1947年の創業以来、日本トップクラスの技術でモーター産業を支え続けている「モーターコア」を製造する製造業の会社です。過去の記事では社員の多くが所属する「製造部門」の工程や仕事の内容、その魅力をご紹介しました。今回は2回に渡り「製造部門」を陰で支えたり導いたりしている部門をご紹介します。前編は従業員や会社を見えない所で支える縁の下の力持ち「間接部門(バックオフィス)」を、後編は製造部門を導く「直接部門」の「営業部門」業務を、一般的な職務内容と当社担当者が語る松本ESテック株式会社内での仕事内容とその魅力をわかりやすくお届けします!
間接部門(バックオフィス)とは?
「間接部門」とは一般的には、企業の売上に直結する「製造部門」や「営業部門」を支えたり、事業の運営を円滑にしたりするための役割を担っている部門を指します。企業の売上には直接影響を与えない、いわゆる数字を持たない部門である「経理、財務、人事、総務、労務、法務、カスタマーサービス、システム、情報、マーケティング(一部数字を持つ場合もあり)」などの部門が「間接部門」と言われています。
直接部門とは?
担当する業務が直接企業の売上に結びつく業務が中心の部門は「直接部門」と呼ばれています。「直接部門」は目標設定や結果を数字で表しやすく、一般的には「営業部門」「製造部門」など直接製品やサービスを提供したり、製造・開発したりする部門が「直接部門」に分類されます。
財務・人事・システムなど「間接部門」の仕事とその魅力は?
この章では、直接売り上げを伸ばすことはできなくても会社を機能させるうえで重要な職務を担っている「間接部門」である「財務・経理・人事・労務・庶務・総務・システム」の業務を中心に、一般的な仕事内容と松本ESテック内での職務とその魅力をご紹介します。企業によって担当する業務の範囲や内容は異なりますので予めご了承ください!
一般的な財務・経理などのお仕事
まずは財務・経理部門の一般的なお仕事をご紹介します。「財務」と「経理」の違いについてもご確認下さい。
長期的な資金管理を担う財務担当
財務(Finance)部門は一般的には企業の資金調達、投資、資産やリスク管理などの業務から長期的な視点で資金の使い道を計画し、将来の企業の成長や企業価値の向上に焦点をあて、企業全体の戦略的な資金管理に関与する部門です。資金調達のために金融機関や銀行と交渉したり、株式の発行を策定したりします。その他、予算の策定と実績の監視や、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)を分析し、企業の財務健全性や収益性を評価したり、企業に起こりうるリスク評価から保険の選定を実施したりします。
貸借対照表(B/S : Balance Sheet)とは:決算日など一定の時点での会社の財務状況を確認できる「調達した資金」と「その使い道(資産)」を表す書類です。
損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)とは:一定期間の企業活動で得た利益や損失などが確認できる資料です。
キャッシュフロー計算書(C/F:Cash Flow Statement)とは:会計期間などのある一定期間における現金の出入りを示したものです。
細かい取引の記録を行う経理のお仕事
日々の経済活動の状況を正確に記録、整理するのが一般的な経理(Accounting)の仕事です。1日単位で行う経費精算、伝票起票、現金出納、仕訳入力や銀行口座確認などは日次業務といわれています。1か月単位で行う月次業務は、売掛金の支払い、買掛金の入金確認、給与振り込み、社会保険や納税等が、会社の収支を1年単位で管理する年次業務では決算に必要な書類作成、減価償却の調整仕訳などを行います。
売掛金・買掛金とは:製品を販売した対価が一定期間を経て支払われる約束をした売上を「売掛金(つけのイメージ)」、直接生産活動や営業活動に結びついている、仕入れた製品の材料などの未払いの支払いを「買掛金」と呼びます。
減価償却とは:長期に渡り使用する設備などを購入した際に、その経年劣化を加味しながら耐用年数に応じ、数年かけて経費計上する仕組みです。
松本ESテックの財務・経理部門の業務内容と魅力をご紹介
当社の財務・経理部門のお仕事は、一般的な「財務」「経理」の業務としてカテゴライズすることが難しく、ザックリと分けると「財務」「生産活動をお金で考え管理する業務」「一定期間毎の現金の動きを管理する経理業務」に分類されます。この章では「生産活動をお金で考え管理する業務」「一定期間毎の現金の動きを管理する経理業務」の担当者が、仕事内容と担当する業務の魅力を語ります。
生産活動をお金で考える!柔軟な姿勢で対応しています。
未経験から始めたこの仕事は関わる人や資料が数多くあります。要領よく、仕事を進める柔軟な姿勢とスピーディーな処理を心掛けています。
▶お客様との納期を守るための出荷配車内容のチェック
お取引先様からご注文を受け、決められた約束の納期に向けて日々運搬する複数のトラックへの積込み及び配送のスケジュールを「配車」と呼び、この「配車」に従い製品がお客様の元へ配送されています。この「配車」内容を事前にチェックし、納期遅延などのトラブルを未然に防止できるよう内容をチェックしています。この仕事はシステマチックにできる部分であり、今後の課題と考えています。
▶間違いなく製品が納品されたか管理するための検収チェック
当社が納品した製品等の内容をお客様が確認し(この作業を検収という)お客様が発行した納品済み製品の詳細情報が記載された検収書と、当社の売上内容を照合し、差異などがないかを確認する事で事前にお支払い内容も把握できます。
▶お客様への請求書発行
お客様と約束した締め日(区切りの期間の最終日)に確定した請求額で作成した請求書を発行し、お客様へ送ります。
▶日々の業務を最終確認、帳票類チェックと月次管理
月毎の会社の健康診断のようなもので、システム上で出力される財務関連の資料から、間違った内容表記等がないかをチェックします。日々の仕入・売上管理などの処理が帳票となるため、いかに毎日の作業等を正しく進めておくか、と云う点がカギとなります。それでもケアレスミスなどは発生します。スピーディーに正しく対処する事を心掛けています。この日々の処理の結果が1ヶ月毎で管理する仕入、売上(売掛・買掛)・残高管理に繋がります。取引先から届く納品書・請求書、残高情報の資料の確認も業務の一つです。
▶制度対応やお客様情報の管理
昨今の「インボイス制度」や「電帳法」に基づいた管理や社内整備は一筋縄ではいかない仕事のひとつですが、協力的に進めていこう、という雰囲気の中、丁寧に対応しています。また、新規取引が発生した際の対応、取引条件の変更、お客様の住所変更、お客様から情報が入る電子データ交換システム(EDI/Electoronic Data Interchange)のパスワード変更など、お客様登録の管理も業務の一つです。一つの小さな変更でも、社内では様々な業務に波及し、時には大きな事象となるため、管理を正確に行うことでトラブルの防止にも繋がります。毎日の様々な業務の中で感じるこの仕事の魅力は、これまで培ってきた能力、人と人とのつながりや努力してきたことなどを軸として、更に勉強を続けながら成長できる所だと考えます。
パズルの様で面白い経理のお仕事
当社の経理(私の担当)の主な仕事は、会社の全ての取引を記録し現金の動きを管理することです。1日、1ヵ月、1年サイクルでの現金や預金の管理、仕入・売上に関わる入出金の管理や社会保険、住民税、所得税等の支払いをし、それらを経理ソフトに仕訳(取引内容を決まった科目で分類すること)入力して月次決算や年次決算につなげていきます。支払い業務は期日を過ぎてしまうと会社の信用に関わるため、スケジュールを意識し業務を進めていくことがとても大切です。また、お金が直接的に絡むのでミスがないように作業することが求められますが、いざ月次を締めようとすると数字が合わないこともあります。そんな時これまでの経験や簿記知識からその原因をつきとめる、それがちょっとした謎解きやパズルのようで数字が合った時のスッキリ感と達成感が経理業務の面白さでもあり、魅力かもしれません。
一般的な人事・労務・総務・庶務の業務内容は?
人事・労務・総務・庶務の業務内容は各企業により担当する職務が異なりますが、人事は、従業員の採用、育成、配置、評価、労働条件の提示(契約)、従業員の健康管理、その他労働法を守り企業が安定して機能できるよう積極的に働きかけていくお仕事です。労務は給与の計算、福利厚生関連、社員入退社等の手続、労務トラブル対応などがあげられます。総務・庶務は社内の「備品、環境、設備、福利厚生企画、契約書管理、保険手配と管理」など働く人の環境整備、会社運営のサポートなど、その他業務内容は多岐にわたります。
多様性に富んでいるから面白い、人事労務、総務の仕事
それぞれの役割に担当者が付く企業もありますが、当社では役割の分割はされておらず、その仕事内容は幅広く「ここまで」という縛りがありません。以下に当社の人事労務、総務庶務の変化に富んだ仕事内容をご紹介します。
全社員とかかわりがある人事労務
社員の採用から退職後まで一番長く「全社員」と関わるお仕事です。人と話すことや面談することが多く、「人とコミュニケーション」は必須です。人事の仕事は求人募集のための学校訪問に始まり、インターンシップの企画やその実施、求人票の作成、入社決定後は入社の手続きや試用期間教育に関わります。社員からの個別の相談や確認等も多々あるため、いつの間にか社員一人一人の顔と名前を覚えることができます。その他就業規則の確認、改定や法律に従った処理も多く、厚労省や国税庁のHPにお邪魔することもしばしばです。時には法改正の内容を社員に周知するための勉強会を実施したり、社員の勤怠をチェックし給与計算のためのデータをそろえたり、書類提出の督促をしたりといった社内お目付け役のような存在でもあります。その他各省庁への届け出書類の作成や契約書の作成、マイナンバーなどの個人情報管理、労働局対応など、仕事内容は多岐にわたります。最近ではこのコラムを更新することも業務の一つになっています。
仕事内容の幅は無限かもしれません、総務、庶務のお仕事
「製造部門、営業部門は管轄外」、というような仕事がメインで、「従業員が働きやすい環境」を考えたり、福利厚生の管理や案内をしたり、健康診断の実施や社内イベント、備品管理なども総務、庶務のお仕事です。工場以外の設備に関する突発的な仕事も数多くあります。(トイレの水が流れない~、扉が壊れた~、自動販売機の欠品対応などなどなど)直接部門と違い、受注が多くても少なくても仕事量はあまり変わらず、人事、労務、総務関連の仕事はマルチタスクを求められますが、自分で仕事をコントロールしながら優先順位をつけ、進めることができます。また、私たちバックオフィスの仕事は税理士、弁護士、社会保険労務士といったその道のプロの方に相談したり、情報を頂いたりする事で自分自身の知識を増やし、自己成長に繋がる所は他の部門にはない魅力の1つです。
一般的なシステム担当の仕事
一般的な社内SEの仕事は、システム企画のための社内インタビューから始まり、企画、予算取り、自社開発や外部ベンダーへの委託調整など、システム導入に至るまでの管理を実施します。導入後はシステム運用、保守、トラブル対応など、その業務内容は幅広く、IT関連の仕事はここに集結します。
担当者が語る、松本ESテック社内SEの魅力とは
担当している社内SEの仕事は社員のITサポートやシステムの開発・運用・保守など多岐にわたります。この仕事の魅力は、自分が作ったシステムが会社の業務効率や売上に貢献していると感じることが出来るところです。また、社員から信頼され、感謝の声を直接聞くことができるのもまた、この仕事の魅力の一つです。一方、社内SEの悩みどころは技術的な問題、個別の要望やクレーム対応などのスケジューリングです。担当業務や情報収集、スキルアップなど、優先順位をつけながら管理する必要があるのでなかなかハードです。最近はChatGPTを先生と仰ぎ、日々知識の研鑽をしています。その他社内SEはITスキルだけでなく、コミュニケーションスキルやビジネススキル、社内のシステムを企画するための会社業務知識なども必要になります。社内SEは会社のIT部門として重要な役割を果たしており、自分の頑張り次第でその価値を高め、認めてもらえるようになる所も、この仕事の魅力です。
まとめ
いかがでしたか。業務内容や業務の幅はそれぞれその企業により異なりますが、どんな会社にも「間接部門」の役割を担っている方が必ず存在します。この記事でご紹介した業務は、「物やサービスを提供する会社」で、「従業員が1人でもいれば発生する業務」であり、この仕事が滞りなく遂行されることで会社として機能することが出来ると言っても過言ではありません。直接売り上げを伸ばすことはできませんが、それぞれの業務が会社や社員を支え、会社を円滑に機能させるための軌道修正を提案、実施する、面白みや魅力ある業務です。前編は筆者が所属する「間接部門/財務・総務部」の業務と魅力についてお伝えしました。後編では「営業部門」の業務をご紹介します。